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(ページの作成:「遺言書を公正証書で作成することができます。通常、公証役場で、遺言者と証人2名で出向いて公証人が作成します。公証役場まで行くことが困難な場合は、公証人が遺言者の自宅などへ出張して作成することもあります。 公正証書で作成する場合には、 # 証人二人以上の立会いがあること。 # 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。 # 公証…」)
 
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==代襲相続==
遺言書を公正証書で作成することができます。通常、公証役場で、遺言者と証人2名で出向いて公証人が作成します。公証役場まで行くことが困難な場合は、公証人が遺言者の自宅などへ出張して作成することもあります。
[[File:代襲相続と数次相続.001.png|thumb|left|図1]]
 相続人が相続開始前に死亡していたとき等<ref>死亡していたとき、欠格事由に該当したとき、排除されていたとき</ref>には、その者の子が相続人となります。


公正証書で作成する場合には、
# 証人二人以上の立会いがあること。
# 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
# 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
# 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
# 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
が必要になります。


遺言書を公正証書で作成するメリットとして次の事項が考えられます。
# 公証人が遺言者の意思を確認し、適切な手続きに従って作成されるため、遺言の内容についての紛争が起こりにくくなります。
# 公証人が遺言書を保管してくれるため、遺言書の紛失や破損のリスクが減ります。原本が公証役場で保管されているため、後日に再度正本や謄本の交付を受けることも可能です。
# 公証人は遺言書の作成に関する法律や手続きに精通しているため、遺言者の意思が正確かつ明確に記載されます。そのため、遺言の解釈に関するトラブルを回避できます。
# 公正証書遺言は、遺言者の意思が正確に記録された公的な証明書として認識されるため、信頼性が高まります。遺言書が改ざんされるリスクも低くなります。


 例えば、上の図の場合、「父」の相続人は「母」と「私」と「姉」です。仮に「父」が死亡したときに既に「私」が死亡していた場合、「私」の「長女」と「長男」が「私」を代襲して相続人となります。この場合、「母」と「長女」「長男」「姉」が相続人となります。「母」の相続分は2分の1、「私」と「姉」の相続分は2分の1の2分の1ですから、それぞれ4分の1となります。「長女」と「長男」は私の相続分である4分の1を代襲相続し4分の1を2人で等しく争族するので、「長女」と「長男」の相続分は4分の1の2分の1である8分の1となります。
ただし、公正証書遺言の作成には費用がかかります。費用が高くなることがデメリットとして考えられますが、その分、遺言の効力や安全性が高まリます。


==数次相続==
{{DEFAULTSORT:こうせいしようしよいこん}}
 相続人が相続開始後に死亡した場合は、相続人が相続した相続分を改めて死亡した相続人の相続人が相続することになります。上の図の場合で、「父」の相続人は「母」と「私」と「姉」です。「父」の死亡後、遺言書もなく遺産分割協議も終わらないまま「私」が死亡した場合、「私」の相続分については「妻」と「長女」と「長男」が相続人となります。
[[Category:遺言書]]
 
 後日、遺産分割協議を行う場合には、「母」と私の「妻」「長女」「長男」と「姉」で協議する必要が生じます。「姉」からは「姪」や「甥」、「義理の姉(私の妻)」と話し合いをすることになります。
 
 遺言書のない場合に、遺産分割協議をせずに置いておくと、関係者が増え、負担が増えていきます。早い時期に遺産分割協議を終わらせるのが良いと思えます。
 
==相続人が兄弟姉妹の場合==
[[ファイル:関係図9-1.png|thumb|left|図2]]
「私」が死亡したとき、「図2」のとおり、子がおらず父母も既に死亡していた場合には、「配偶者」と「姉」が相続人となります。「私」が死亡した時点で既に「姉」が死亡していた場合には、姉の相続分を「姪」(姉の子)が代襲して相続します。仮に「私」が死亡した時点で「姉」も「姪」も死亡して、「姪」も子がいたとしても、「姪」の子は代襲して相続しません。「子」が相続人になる場合との大きな違いです。
 
 逆に、「私」が死亡したあとに「姉」が死亡した場合(「私」が死亡した時点では「姉」は生存していた場合)には、「私」の相続人は「配偶者」と「姉」になります。相続分は「配偶者」が4分の3、「姉」が4分の1になります。「姉」が死亡したことにより、「姉」が相続した相続分である4分の1を「義兄」(姉の配偶者)と「姪」(姉の子)が改めて相続します。代襲相続と違い、一旦「姉」が相続しているため、「姪」(姉の子)、その後「姪」が死亡したとしても、その子(姉の孫)や子の子(姉のひ孫)がいる場合には相続されていきます。
<br clear=all />
 
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[[Category:相続人]]

2023年5月6日 (土) 14:04時点における最新版

遺言書を公正証書で作成することができます。通常、公証役場で、遺言者と証人2名で出向いて公証人が作成します。公証役場まで行くことが困難な場合は、公証人が遺言者の自宅などへ出張して作成することもあります。

公正証書で作成する場合には、

  1. 証人二人以上の立会いがあること。
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

が必要になります。

遺言書を公正証書で作成するメリットとして次の事項が考えられます。

  1. 公証人が遺言者の意思を確認し、適切な手続きに従って作成されるため、遺言の内容についての紛争が起こりにくくなります。
  2. 公証人が遺言書を保管してくれるため、遺言書の紛失や破損のリスクが減ります。原本が公証役場で保管されているため、後日に再度正本や謄本の交付を受けることも可能です。
  3. 公証人は遺言書の作成に関する法律や手続きに精通しているため、遺言者の意思が正確かつ明確に記載されます。そのため、遺言の解釈に関するトラブルを回避できます。
  4. 公正証書遺言は、遺言者の意思が正確に記録された公的な証明書として認識されるため、信頼性が高まります。遺言書が改ざんされるリスクも低くなります。

ただし、公正証書遺言の作成には費用がかかります。費用が高くなることがデメリットとして考えられますが、その分、遺言の効力や安全性が高まリます。